【エッセイ/物語】ゲーム「ファークライ5」 FPSゲーマーが踏み入った楽園、もしくは地獄

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 このゲームのPS4版をクリアして間もない頃、こんなタイトルで思いの丈を語り尽くしてやろうと意気込んでいたのだが、ゲーム作品を語るなら少なくとも2~3週くらいはきっちり遊び尽くしてからじゃないと失礼だろうなんて思ったりもしているうちに熱が冷めて結局一度流れた。はっきり言って、この作品に限っては2週もやろうと思えない。つい最近割とハイスペックなゲーム用PCを新調したので4K60FPSでもう一度味わってやるぜ!などと思い再びPC版を遊んでみたのだが、画質は最高に綺麗な上PS4版の2倍のフレームレートでヌルヌル動いて快適極まりなかったものの、どうにもモチベーションが上がらない。数時間遊んでみたものの、結局アンインストールしてしまった。

 

 そんな中、最近漏れ聞くところによるとあのドラゴンクエストの映画化作品が公開後間もなく大炎上しているという。ゲームの映画化なんて生まれてこの方ほんの一握りしかまともなものを見たことがないので、まぁいつものことだなぁとは思いつつも、何とはなしに理由を調べてみると、成る程、今回に関してはファンの逆鱗に触れるのも無理はないものと思えた。

 今となってはドラクエファンも中々年季が入っている方が多かろうに、散々ソフトを買い支えた挙げ句の果てに大してビデオゲームを好きでもなさそうな、けれども映画を撮ることだけは上手いどこぞの監督にこんなものを作られ見せられたのではたまったもんではないだろうと少々同情の念を感じつつ、一方でよくも商業作品でこんなえげつないことやるよなぁとある意味感心。ところがどっこい、あったんだね。もっとえげつない作品が。そう、ファークライ5である。この作品に比べたら、映画版ドラクエの「大人になれよ」なんてのは小学生のかわいい戯れ言程度のものだということを今回改めて思い出すに至って、やはり引きずってるなぁ、これは一度よくよく考えてみないといけないテーマだなとしみじみ感じ入ったため、つらつら書き連ねてみることにする。今回の主題は言うなれば「創作に対するニヒリズム(虚無主義)」について。更にはそれは克服できるものか、どう克服すべきかといった辺りを、ファークライ5(以下FC5)やその都度関連作品を題材にしながら書いていくつもりだ。(追記:結局そこまでは書けなかった。というか答えが見つからなかった。)わりかし抽象的で長めのお話になるかもしれないので、本作の素晴らしい楽曲をBGMにでもしながら読んでもらえればと思う。こちらは本作のタイトルテーマ曲。アメリカ南部の長閑な田舎によく似合う、ゆったりとしたカントリー調の曲だ。

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前述の通りFC5については一度書こうとして挫折したのだが、今回の記事もまた書き始めてから精神的にしんどくなり、数ヶ月放置の末強引にまとめ上げた。いや、まとまってはいないが打ち切り完結させた。それでもかなり長くなってしまったので、目次などを利用して何度かに分けてお読み頂ければと思う。基本的に作品の感想というものは、好きなものについてだけ書こうと決めているが、今回は「良薬口に苦し」、もしくは「忠言耳に逆らう」とでも言えるようなものを感じた次第なので、特別回である。

 

本文文字数:14553字

読了目安(1分間500文字換算):約29分

  •  1.「ファークライ5(FC5)」について
  • 2.物語が孕む問題点
  • 3.物語に込められたメッセージ:鑑賞者視点
  • 4.物語に込められたメッセージ:創作者視点 
  • 5.楽園、もしくは地獄

 

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【エッセイ】ゲーム「Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー」SW愛に溢れた王道の成長物語

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 この素晴らしい作品をクリアして、心地よい余韻に満たされているうちに想いの丈を綴っておくことにする。推敲するほどの内容でもなく心の赴くままに書くので、「バイオハザードRE2」について書いたときと同様に支離滅裂な乱文になろうかと思う。私が特に感動したのは本作のストーリー・演出であり、その点を中心に書いていく。また、文章の中で作品の核心にも触れるので、この作品に少しでも興味を抱いてこの記事にたどり着かれた方は、是非ともネタバレ無しにまず作品を遊んでいただきたい。そしてクリアした後で感想を共有していただければ幸いである。

本文文字数:5518字

読了目安:11分

 

目次

1.「フォールンオーダー」までの、いちSWファンとしての個人的軌跡

2.「フォールンオーダー」という作品の立ち位置

3.「フォールンオーダー」のストーリー

4.「フォールンオーダー」グッときた演出

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【レビュー】映画「サイレントヒル」(4) 灰の向こうより、「母」を探し続けた娘

少し間が空いてしまったが第4回、ひとまず今回で一区切りに。前回はこちら

 

今回は作品の最大のテーマであろう「母性」について書いてみます。

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【レビュー】映画「サイレントヒル」(3) 灰の向こうより、「母」を探し続けた娘

第三回です。前回はこちら。今回は演出のメタファー(暗喩)について。この監督は結構そういうの好きみたいですね。
 

【レビュー】映画「サイレントヒル」(1) 灰の向こうより、「母」を探し続けた娘

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  この広大なネットの中から何を間違ったかこのブログを覗きに来てしまった方(1日に20人くらい犠牲者が居る)のアクセス先というのを見てみると、ほとんど9割が「サイレントヒル2」の記事。しょうもない駄文を書いてしまい申し訳無い反面、みんなサイレントヒル好きなのね!とちょっと嬉しくなったので、もうひと記事くらい書いてみようと思います。今回はですます口調、話し言葉で書いてみます。

 

 毎回書いているうちにかなりの長文化してしまいどうしたものかと思ってまして、読み終わるまでに20分とか書いてあると忙しい現代っ子はそれだけで読む気が失せると思うんですね。なので今回からは読みやすいよう記事を分割して上げていこうかと思います。内容も思いつくままに書き進めていこうかと思います。

 

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【エッセイ】ゲーム「バイオハザード RE2」 ゾンビ達との20年越しの再会を経て

レオン/クレア表裏ハードコアS+クリア達成、全実績解除の一区切りにレビュー(※レビューと書いてあるが、実際はエッセイ的内容です。)を残す。感じることは多く、長文になると思うので既プレイ者が全クリして一息ついた後などにぼんやり読んでもらえるとありがたい。当時の原作を未プレイの人はあまりピンとこないかもしれない。

 

本文6974文字

読了目安12~14分

 

 

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【レビュー】映画「レクイエム・フォー・ドリーム」 人は夢に中毒する

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 今回は2000年公開の映画、「レクイエム・フォー・ドリーム」(Requiem for a Dream)について書いてみる。原作はアメリカ人作家の小説で、邦題は「夢へのレクイエム」として邦訳もされている。既に絶版のようだが、近くの図書館などで借りることはできるかもしれない。映画の方は有名なので、まず間違いなく大手のレンタルビデオ店では借りることができるはず。安っぽい文句はあまり使いたくはないが、陰鬱な描写こそあれ、人生の中で一度は観てみるべき映画だと思う。

 

目次

1.この作品の世間的評価

2.物語の登場人物たち

3.サラの物語 

4.ハリー達の物語

5.物語の構造

6.「中毒」(依存)する理由

7.夢へのレクイエム

 

本文 10496文字 読了目安20~25分

 

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